「さすが、お耳が早い」

 清五郎は戸口に膝を付いた。
 やはりどうしても、真砂を頭領と崇めたいらしい。

「いつも言ってるだろ。お前らは好きにするがいい。俺も勝手に動く。人数がいれば、影に動くことなど無理な話だ」

「は。ですから我らも、好きに動いており申す」

「?」

「真砂を頭領として、真砂の動く通りに従う所存」

 真砂の眉間に、僅かに皺が寄る。

「いかにお前らが俺を頭領として仰ごうとも、俺は何も指示せんぞ」

「一から十まで指示されねば動けぬような者、それこそ真砂には不要であろう」

 ふぅ、と一つ息をつき、真砂は立ち上がった。

「……勝手にしろ」