夜香花

「何だ。まだ部屋には入ってなかったのか」

 無表情に言う真砂に、清五郎は少し肩を竦めた。

「部屋の近くに詰めてはいたがな、何分この騒ぎだ。庭にもぎっちりと兵が詰めていたし、なかなか動けなくてな」

「羽月が捕まったって?」

「ああ。捨吉らは、羽月救出に向かった」

「救出ね……」

 真砂にとっては、どうでもいいことだ。
 敵に捕まるような間抜けは不必要。
 まして自力で脱出できないなど、論外だ。

「真砂。兵は、屋敷に爆薬を仕掛けたようだぜ」

「何?」

 真砂の顔が険しくなる。

「この部屋の床下で、捨吉が聞いてきた。室の亡骸を、敵に渡したくないようだ。さっきここで密談していた武将が室を殺し、その後屋敷を爆破して、始末をつける計画だったようだ」

「なるほどな」

 だからここにいた兵が、ばらばらと散っていったのか。