その内、さやかの鼻を啜る音が聞こえる。


泣かしちゃった……。


「中学の時……あたしだけ見てほしかったのが本音!でっ、でも…」

「でも?」

「せっかく片思いで…やっと付き合えたのに別れたくなかった。あたしのわがままで」

「……そっ、か…」


涙が溢れて下を向くさやかの頭を優しく撫でてやる。


泣き止む気配はないけど…。


「フラれた後もずっと……ずっと好きで…。前に会えた時はすっごく嬉しかったんだよ」

「ごめん……。悲しい思いさせた俺が悪かった」

「優しくすんな」


さやかは泣きながら無理して笑って見せた。


無理して笑う顔を見るのが、一番ツライかもしんねぇ………。