少し身だしなみに気を使い、リンさんと食べに行く準備をする。

「リンさん……?」

着替えてから、コンビニから出ると。いる筈のリンさんの姿が見当たらなかった。

「………あれ?」

いない……。…もしかして…事故とか?!そ、そんな訳ないか…。

最悪過ぎることをバカみたいに考えていると、アスファルトの上を走る音が私に近づいてきた。

「優さん!」

走ってきたのは、リンさんだった。…手には、冷えていそうな缶ジュース2つ。

「リンさん…。どこ行ってたんですか?」

缶ジュースなら、コンビニにあるのに…?

リンさんは、少しの間、動きを止めた。

「あ、えっとね…。自動販売機で缶ジュース買ってたんだ」

ニコッと笑って、オレンジジュースを私に差し出した。私は、お礼を言ってから受け取った。

「そうですか…。でも、このオレンジジュースならコンビニに売ってますよ?」

「ぃや、そうなんだけど…。ちょっと…、あの…人が…怖くて…」

リンさんは、横目でチラッとヨト先輩を見た。

「…そうですか……」

「うん…。ごめんね?待ったかな?」

「いえ、大丈夫です。私、ついさっき来たばかりですから」

「なら、良かった……」

リンさんは、安心したのか。顔をフニャッと、ゆるませた。

普通にしてたら、優しくて良い人なのに……。

私は、リンさんのフニャッとした顔をじーっと見てた。

「……………………」

「ゆ、優さん?俺の顔になんかついてる?」

「い、いえ。別に何も」

私は、リンさんの言葉に焦りながら視線を逸らした。

「………………?」

「あ、あの。どこに食べに行くんですか?」

私は、適当に話を逸らした。

「ん?…あのね、居酒屋さんにちょっと似てる所だよ」

居酒屋さん…。

「そうなんですか?居酒屋って、どんな所なんですか?」

「あ、そっか。優さん、未成年だったね、えっとね。…結構色んな食べ物があるんだ。ラーメンとか、寿司とか!」

「へぇ…………」

それを聞くと、ちょっと興味が出てきた……。

「面白そうでしょ!」

「はい!」

「で、食べ終わったら綺麗な所に俺が連れてってあげる!」

そう言って微笑んでいるリンさんに、私は無意識に見とれてることに気づいてしまい。

「………も、もう行きませんか?」

私は、意識しないようにリンさんに提案をした。

「あ、うん。そうだね。じゃあ、行こっか…」

リンさんは、私の歩幅に合わせながら、私達はリンさんがオススメ、というお店に向かった。