さてさて……。ついに来ました。来てしまいました。金曜日が……。

「いらっしゃいませ」

変人1とデートの日が。

「合計で350円です」

それは、とても不安で。でも、ちょっと楽しみで。

「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」

1人になったコンビニのレジの前で、ボタンを押して遊びながら黙々とデートの様子を想像していた。

どうせ、大変なことが起きるんだろうな……。

「………ーん。…さーん。……優さーん?」

「ぅ、うわぁ…!?り、リンさん?!」

目の前には、苦笑いをして手をふっているリンさんがいた。

私はビックリしすぎて、手がアチョーみたくなる。

「あはは……、優さん。バイト、何時に終わるのかな?」

「えっと…。7時です」

因みに、今は午後の6時40分前です。

「じゃあ、終わるまで待ってて良いかな?」

レジのところに、リンさんは二日酔い止め薬を置いた。

「………………、はい」

ぷっ……、と私が笑うとリンさんは照れ笑いをこぼす。

「俺、今日、優さんのことを綺麗なところに連れて行くね!」

「はい。楽しみにしてますね…」

「うん!……でも、最初はご飯食べに行こ?」

「はい」

ニコッと笑うと、リンさんは二日酔い止め薬の箱を潰しだす。

「あ、ああぁぁぁ?!り、リンさん?!何してるんですか?!まだ、お会計終わってませんよ?!」

「…………、うわぁあああ?!ど、どどどどうしよう?!優さん!!!」

「し、知りませんよ!!」

私達2人は、オロオロと手を動かす。

そんな時…。天使がきた。

「……………、どうしたの?優ちゃん………?」

そう!ヨト先輩ですっ!!

「あ、あの…。お会計が終わってない商品が潰れてしまって………」

「あ、それなら。新しい商品持ってきたら?その潰れた商品は俺が買い取るよ」

ニコニコッ…と、天使みたいな…。いや、天使な笑顔を浮かべるヨト先輩が眩しくて。後ろに煌びやかなオーラが……。

「ほ、本当ですか?!ありがとうございます!」

私は、腰を曲げてお礼を言った。ヨト先輩は、優しい声で、頭あげて?…と、言った。

私が、頭をあげると、ヨト先輩は私の頭を優しくクシャクシャと撫でた。

「え、えっと。俺からも…助けてくれて!あ、ありがとうございます!」

リンさんが、ニコッニコッ微笑んでヨト先輩に微笑んだ。

だけど、その瞬間…。ヨト先輩から、笑顔が消える。

「別に、お客様を助けた覚えはありませんから。俺は、優ちゃんのことを助けたんです。勘違いしないでください」

「は、はい………」

………………、ヨト先輩って。あの変人3人に凄い冷たいよ…ね?

「じゃあ、優ちゃん。今日は、もうバイト終わっていいよ?…お疲れ様」

「はい!ありがとうございます!」

私が、お礼をして更衣室に向かう途中。

「お客様。二日酔い止め薬新しいのを持ってきてください。……お買いになられるんですよね?」

「…はい。すいません……」

ヨト先輩の冷たい声と。リンさんの震える声が聞こえた……。