変人達が帰り、少しした後。私が晩ご飯の用意をしていると。

「ただいまー」

「おかえりなさい」

お兄ちゃんが、リビングのドアを開けて帰ってきた。

「ん?いい匂いだな……」

お兄ちゃんは、カバンを置いてからキッチンに来た。

「今日は、スパゲティだよ。お兄ちゃんの好きなカルボナーラ…、って、つまみ食いダメ!そのサラダは、まだダメ!」

つまみ食いをしようとしてたお兄ちゃんの手の甲を軽くペシッと叩いた。

「えー……。優のケチー……」

「ダメって言ったらダメ!お兄ちゃん、つまみ食いするフリして、全部食べちゃうじゃん!この前、ハンバーグ作ったら一口一口、って言って全部食べちゃったし!」

「うっ…………」

お兄ちゃんは、苦笑いをする。

「しょうがないから、私のハンバーグを半分あげたら、またまた食べちゃうしさ!」

「ゆ、優の作る料理は、…お、美味しいから止まらないんだよ!美味しい料理作る優が悪い!」

またまた逆ギレ……。

「じゃあ、今度からタバスコとマヨネーズとケチャップと七味唐辛子を量関係なくいれていくね」

「ごめんなさい。もうつまみ食いしません」

お兄ちゃんは、私に腰を曲げて謝った。私は、少し笑って。

「宜しい。…じゃあ、お兄ちゃん。手洗って、待ってて。もう少しで出来るから」

「分かったー。…なんか、新婚夫婦の会話みたいだな!」

「それ、キッチンから出て行く度言うよね。何年言ってるの?」

「優を好きになってから毎日」

お兄ちゃんは、そう言ってキッチンから出て行った。

「………………」

やっぱり引っ越そうかな……。

「って、いけない、いけない」

リンさんに言われたんだから…。

私は、黙々と晩ご飯を作った。


「お兄ちゃん。出来たよ」

私は、カルボナーラをお皿に盛って、お兄ちゃんのところに運ぶ。

「おぉ!ありがとうな!……美味しそう……。なぁ!なぁ!もう食べて良い?」

目をキラキラさせて、カルボナーラを見ていた。

「ふっ……。いいよ……」

「いっただっきまーす!!」

私はお兄ちゃんに微笑んでから、自分のを用意しようと、キッチンに戻り自分の分を用意する。

「いただきます」

「ふんほい、おいひいほ!!」

「口の中に入れたまま喋らないで」

「んっ…………。凄い、美味しいぞ!」

「そう。ありがとう」

「…………………」

急に黙り始めるお兄ちゃん。私は、首を傾げる。

「………………?」

「なんか、今日の優変だな。なにか、あったのか?それとも、なにかあるのか?」

………………、やっぱりお兄ちゃんには何も隠せないな………。

「うん。……後で言うね」

「…………?おぉ!愛の告白と期待してるな!」

「ごめん。期待に応えられない」

私は、ニコッと笑顔で答える。お兄ちゃんは、だよな、と笑った。

それから、なんとなく気まずい空気の中、私達は晩ご飯を食べた。