「だからね?ここは……」

レンが、同じ問題の説明を合計7回目を始める。レンは、若干疲れてきてる。まぁ、当たり前かな?かれこれ、1時間は経っている。

今の時刻、5時30分近く。

「ん?なんで、こっちに移項するの?」

さっきも説明されたのに、何回も同じ事を何回も同じ所で聞く私。

「えっとね?……移項するのが、僕達の宿命なの…。運命なの…。うん……」

段々と、レンの説明の意味が訳分からなくなってきた。

「レン、疲れてない?ちょっと、休憩する?」

「……ぇっと、ちょっと、休憩しようかな……」

レンは、私がいれたお茶で喉を潤せた。

「ごめんね?私、理解力なくて…」

「大丈夫、大丈夫」

レンは、優しくホワワッと微笑む。

……こういう感じなのが、ずっと続けば私の苦労も少しは減るのにな……。

「あ、そういえば…。リンさん達…………」

リンさん達は、ケンカしていて疲れたのか寝ていた。リンさんは、正座しながら寝てた。アラタさんは、大の字で寝てた。リイさんは、小さく丸まって寝てた。

「これじゃあ、勉強会じゃないじゃん……」

…寝てる時は、静かなんだな…。…この人達は…。…まぁ、うるさかったら、うるさかったで嫌だけど!

「起こす?」

カナが、私を見て聞いてくる。

「いや、いっそのこと、永遠に起こさないで」

「だ、ダメだよ!一応、起こそう?ね?優花…?」

レンが、慌てながら私に言う。

「………しょうがないな………。起こすか…。うわー!助けてー!」

私は、ワザとらしく転んで、アラタさんの体の上に倒れ込む。アラタさんは、ゥグッ、と唸り声を出して起きた。

「ゥグッ!!!………おい!優!誘ってるのか!!!」

………この人の頭の中は凄い幸せなんだな………。

「いや、死んで欲しいんです」

「失礼な奴だな!お前は!」

「リンさん、起きて下さい」

私は、アラタさんを無視してリンさんの肩を揺らす。

「ん………。…あ、優さん…。………あぁ!!寝てた!!」

リンさんは飛び上がる。そして、正座しながら寝ていたので、足が痺れていたのか。…そのまま倒れて、リイさんを目掛けて倒れた。

「ぅわっう……!!……ぃたい……、ちょっと、リン……僕を殺す気…なの?」

「ご、ごめん!ちょっと、動かないで!足、痺れて痛いの!」

「本当最悪だよ…、リンが、優ちゃんだったら、どんなに幸せ…かな?」

ガッカリした表情で、リイさんはリンさんが、退けるのを待っていた。

「そこまで、ガッカリしなくても……」

「ていうか、早く退けてよ…リン…、なんで、僕が押し倒されてる体勢で待ってないといけないの…かな?」

「しょうがないでしょ。足、痺れてるんだから……」

「よりにもよって、僕の方に倒れてくるなんて…、アラタの方に倒れて欲しかった…よ?」

「僕を犠牲にするな!リイ!」

何故か、私のお気に入りのクッションにアラタさんが抱きつきながら怒っていた。

「別に、良いじゃん…、死ぬわけじゃないんだ…し?」

「打ち所が悪かったら死ぬぞ!」

「うるさいな…、黙ってて…よ?男に、押し倒されて、機嫌悪いんだから…さ?」

リイさんは、凄い無表情だった(まぁ、殆ど無表情だけど…)。

「襲わないから、大丈夫だよ!」

「そういう問題じゃないよ…ね?」

「大丈夫!後、もう少し!」

「後、5秒…ね?…5…4…3…2…1………早くして…ね?」

リイさんは、凄い声を低くしてリンさんに言い放つ。リンさんは、リイさんの言うとおりに、ゆっくりとリイさんから離れた。

「はぁ………、リイはいつから、こんなに冷たくなったのか……」

リンさんが、呟くと、アラタさんが何かを考えていた。そして、言った言葉が…。

「あの、捨て犬ゴッコ事件じゃないか?」

「……………、あぁ!それだ!!!!」

リンさんが、手をポンと叩く。

捨て犬ゴッコ事件………?何それ……。全然良いことでは無い遊びだよね……。

「…………………」

リイさんは、さっきからずっと無言だった。

「あれは、中学生の時だったっけ?」

「あぁ!大きいダンボールが、あって……」

え?何、この展開…。え?普通に、リンさん達の過去の話になるんですか?!

それって、良いんで(以下略…