「うるさいよ、アラタのせいで勉強する時間が少なくなったんだ…よ?」

「……………。今から勉強するぞ!」

「「「はっ、はい!!!」」」

アラタさんの声に、反応してカナ達は返事をする。

「で?優は、何が苦手なんだ?」

アラタさんが、私の隣に座る。そして、メガネを掛け始めた。悔しいくらいに、似合ってる。

目悪いのかな…?

「全部です」

「……………。じゃあ、いつもテストの点数の平均得点は何点だ?」

「うーん……。多分、20から30の間です」

50以上は、高校生になって小テストくらいでしか……。

「うん!僕には、手に負えないな!」

メガネを投げ出すアラタさん。

「なっ、何でですか?!アラタさん、頭良いんじゃないんですか?!」

私は、自分のノートを机にバンッと叩きつける。カナ達が、少し肩がビクッと震えた。

「確かに、僕は頭は良いけどな!優は、少し頭がパー過ぎだ!」

訳の分からない単語を言うアラタさん。

「パーって、何ですか!?パーって!!」

「パーは、パーだ!パー優!」

「意味わかんないです!そういうアラタさんが、パー何じゃないんですか?!」

「失礼だな!僕が、パーな訳無いだろ!」

「いや、あるから」

「普通にある…よ?」

リンさんとリイさんが、アラタさんの事をパーと言う。

「ふざけるな!僕のどこがパーだ!」

「全部」

「全てだ…よ?」

「うぐぬぬ……。そういうお前らは、パーじゃないのか!!」

「カナ、レン、チカ、もう4人で勉強しよ……?」

私が、リンさん達のケンカを無視してカナ達の所に歩いて行く。

「でっ、でも…」

カナが、リンさん達の事をチラチラ流し目で見る。

「あの人達は、いつもああだから…。私も、手に負えないから…」

「そっ、そうなの?」

チカが、アラタさんの頭を見ながら言った。

「うん。変人だから。カナ達と同じで」

「あっ、あれ?今、悪口言われたのは僕の気のせいかな?」

レンが、私の発言に疑問を持った。

「気のせいだよ。気のせい」

「そっ、そう?」

レンは、疑いの目を私に向けるが、それを見ない振りー。知らんぷりー。

「うん。気のせいだよ。…だから早く勉強しよ…?…私、このままじゃ…。…あの変人変態南粋タキトと二人きりで、補習授業しないといけないんだよね…。死にたいくらいに、嫌なの。だから、お願い」

「良いけど…。何点目標?」

カナが、珍しく真剣に聞いてくる。

「全教科平均点より10点以上」

「いや、それ無…ぶっ…」

チカが言いかけた時に、レンがチカの口を塞いだ。

「じゃ、じゃあ、全教科平均点より10点以上目指して勉強頑張ろっか」

「…まぁ、ダメ元でね…」

「うんうん!頑張ろう!」

「ありがとう。レン、チカ、カナ!」

私は、目をキラキラさせて机に勉強道具(南粋タキトに渡されたプリントの数々)をドーンと置いた。

「なっ、何これ……」

カナが、沢山のプリントを見て目をまるにしていた。

「ん?南粋タキトに渡されたプリント…。期末テスト範囲内をまとめて作ってくれたんだって。因みに、数学の範囲のプリント」

南粋タキトは、3日間徹夜して作ってくれたらしい。目の下にクマをつけながら笑って、私に渡してくれた。…その後、ぶっ倒れたけど。

私が、引きずって保健室に連れて行った。

「うわっ!!!タキト先生、神だ。なんで、こんな神様を優は嫌いなの?!」

レンが、プリント数枚見ながら私に聞いてきた。所々、カナが凄い、と言っていた。

「頭おかしいから」

「いや、こんな事してくれる先生普通いないからね?!」

レンが、プリントを机に置いた。

「頭おかしいから」

「……………。まっ、まぁ、良いや。じゃあ、タキト先生のプリント使って勉強しよっか」

「うん!」

私とカナ達は、未だにケンカしているリンさん達の事を無視して勉強会を始めた。