「らっしゃい!何名様っすか?」

私達がラーメン屋さんにはいると、若い男の人が私達に声をかけて近づいてきた。無駄に声がデカくて疲れそう…。

「4人でお願いします」

私は変人達を含めた人数を言う。

本当は、大人のこの人達に言ってもらいたいけど…。絶対に変な事言われるもん…。

「っしこまりました!っちらへどうぞ!」

さ、最初の言葉が聞こえない…。は、はりきっているのかな…?

「ックスで、よろしいでしょうか?」

…………?ックス?

「ボックスで、全然良いです」

リンさんは聞き取ったらしく、聞こえずらい声の人に笑顔で答える。

「っかりました!っん名様ご案内!」

「…………?」

4名様って言いたいのかな?まぁ、良いか。どうでも……。

「ふぅ……」

私は、ボックス席の一番右奥に座った。ボックスの入り口の方から、ジャンケンをしてる声が聞こえる。

「ふはははっ!!神は僕に微笑んでくれたのだ!もしかしたら、今、僕は世界の平和を守れるかもしれない!何故なら…(以下略」

どうやら、アラタさんがジャンケンに勝ったらしい。アラタさんは私の隣に、ドカッと座った。

「はぁぁ。俺、優さんの隣に座りたかった…」

「僕も…かな?」

私の目の前にリンさんが座り、リイさんは私の左前に座った。

「お前達は、神に見捨てられたのだ!ふはははっ!」

アラタさんは、相当嬉しかったのか、2人を指差して大声で笑う。

「アラタ今度覚えてて…ね?」

「絶対、嫌な事が訪れるよ!」

嬉しそうなアラタさんの逆で、2人は不機嫌そうな表情でアラタさんに冷たく当たっていた。

「そんなもの、神が払ってくれる!」

「……………」

リンさん達の会話の内容はくだらないけど、聞いていて少し楽しいかも……。

バカらしいし……。大人なのに、こんなにバカになれるって、ちょっと尊敬するな。

あ、早くラーメン選ばないと…。

「皆さん、食べたいラーメン選んで下さい」

「僕は、優の食べたラーメンだ!」

「僕も…」

「俺も」

「…………………」

そうだった…。この人達は、バカじゃなくて変人だったんだ。聞いた私がバカだったな。

「……ちゃんと真面目に、言って下さい」

「じゃあ、優が食べたい」

「僕も…かな?」

「俺も」

「真顔で、変な事言わないで下さい!もう、味噌味とか、醤油味とかです」

私は、冷静さを保ったまま変人達にメニューを見せる。

「じゃあ、醤油味の優で」

「僕は、味噌味の優ちゃん…で?」

「俺は、塩味の優さんで」

「……………」

私は、皆さんの発言をガン無視をして、店員さんを呼んで自分達の食べたい物を注文していく。

「っちゅうもんをどうぞ!」

「醤油味の優で」

「…………?!」

「っい……?」

アラタさんは、店員さんにまで、変な事を言う人だったの?!

「し、醤油味だと思います」

私は、焦らず冷静に、ちゃんとした注文を言った。

「後、味噌味と塩味。…私は…。塩味で」

「っちゅうもんのご確認です!っょうゆ味一つ、味噌味一つ、塩味二つ。っお間違いは、ありませんか?」

「はい。全くありません」

「っは、失礼しまっす!」

店員さんは、私達にお辞儀をして早歩きで戻っていった。

「アラタさん!本当に、ふざけないで下さい!」

私は、隣に座ってるアラタさんに文句を言う。でも、変人に何を言っても無駄なようで……。

「……………?僕は、ふざけた覚えが無いぞ!」

「……そうですね。もう、良いです……」

アラタさんは、本当に自覚がないのか、のほほんとした雰囲気で言い返す。

私は構うのも面倒になって、適当にあしらった。

「優ちゃんが、呆れた…ね?」

もっと前からでしたけどね……。

「アラタのせいだよ!」

「ぼっ、僕は本当に何もしてないぞ?!」

「嘘言ったらダメなんだ…よ?嘘付きは、泥棒の始まりなん…だよ?」

「本当にしてないぞ?!信じろ!小さい頃からの付き合いだろ?!」

「そうだけど」

「アラタは、いつも気分屋さん…だから?」

アラタさんって、意外にいじられキャラなんだ……。
ていうか、皆さん幼なじみだったんだ…。皆さんの謎は深まるばかり…。
でも…もっと皆さんの事を知りたいって思うのは、何でかな?
不思議な気持ちだな…。感じた事の無い感情…。