「……よっ、ヨト先輩?」

「………ん?何?優ちゃん」

ヨト先輩は、いつも通りの爽やかな笑顔で私に微笑んだ。

「ぃ、いえ。なんでも…無いです……」

でも、さっきのヨト先輩を見たら…。その優しい笑顔も、ちょっと恐怖を覚える…。

「そっか。じゃあ、優ちゃん、バイト始めようか。店長に、見つかったら面倒くさいから」

「はっ、はい!」

私は、一旦さっきのヨト先輩を忘れる事にして、仕事をしようとする。

「ちょっ、ちょっと待て!ヨト!お前はっ…」

モンスターアラタさん…。面倒だから、アラタさんに直します。

アラタさんが、ヨト先輩の手首を掴み何かを言おうとすると…。

「お客様、買い物をしないのならコンビニから出て下ださい。俺達の、給料が減るじゃないですか。それとも、何ですか?優ちゃんが、汗水垂らして頑張って頑張って稼いだ、給料を下げるつもりですか?」

またまた、腹黒いオーラと黒笑顔で、アラタさんの攻撃を阻止した!?

「……そっ、そういうつもりはっ…」

「だったら、早くコンビニから出て下さい」

「ぼっ、僕は買い物をしようと…。おっ、お前らも、だよな?」

アラタさんは、リンさん達に助けを求めた。リンさんは、その事を理解したようで。

「そっ…、…そうだよ!俺は優さんを買いに…、じゃなくて。……えっと、その、夢を買いに……。じゃなくて!!俺は、純粋にお菓子を買いに来たんだ………よ………?」

何で、最後疑問系なんですか?!アラタさんも、リイさんも、困ってるじゃないですか?!

南粋タキトは、あまり見せない苦笑いをしているし……。

……しかも、最初に私を買いにきたって、言おうとしてましたよね?!それに次、言おうとした事が夢を買いにって、……。

リンさんって、助けようとすれば、するほど逆に!自分どころかその人の首も道連れに絞める人?!

「優ちゃんは、物ではありません。夢は、自分で勝手に見つけて勝手に買ってて下さい。お菓子を買うなら、さっさと選んで買って下さい」

ヨト先輩は、私に向けた事のないような…。小さな子供だったら、泣くんじゃないかって位……。怖い怖い笑顔で、リンさんの事を軽く睨んでいた。

「はっ、はい……」

リンさんは、ヨト先輩の迫力に負けてお菓子コーナーへと歩いて行った。

リンさんK.O。ヨト先輩勝利。

「他のお客様は、どんなご用事で?」

「僕も、お菓子買いに来たん…です?」

リイさんは、堂々…でもないけど、ヨト先輩にハッキリと言った。

「お菓子コーナーは、あちらへです。さっきの、お客様が向かった場所にあります」

ニコニコ、ヨト先輩が優しく微笑む。口は、笑っている。…良かった、怒ってなっ…。

目の奥が、笑っていなかった……。

「はい…、すいません…、今行き…ます?」

リイさんが、雨の日に捨てられた子犬のように、プルプル震えてリンさんの元へ歩いて行った。

リイさんK.O。ヨト先輩2連続勝利。