「しょうがないじゃん…。美味しいんだもん…」

「リンさんって、お酒弱いんですか?」

何か、意外かも……。一番、強そうなんだけどな……。

「多分ね……」

「多分じゃないよ……、リンはお酒弱過ぎ…だよ?」

リイさんが、ちょっと怒った口調でリンさんの発言を否定する。

「それに、酒癖も悪いしな!」

「酒癖?」

「うん……、この前、3人で飲んでた時に僕、酔っ払ったリンに口にチューされる所だったん…だよ?」

「えっ?俺、そんな事しようとしてたの?!」

リンさんは、顔を真っ赤にして。目を見開いていた。

「あぁ!お前を止めるのに、凄い手こずったんだぞ!」

「ごっ、ごめんね?リイ」

「僕にも謝れ!お前は、途中で標的を変えて僕にシようとしてたんだからな!」

「……アラタには、言われたくないよ。アラタだって、酒癖悪いじゃん」

リンさんが、呆れた表情でアラタさんを見てた。

「なっ、何だと?!そんな事無いぞ!リイ、そうだよな?!」

アラタさんの額には、汗が凄い滲み出てた。……あぁ、嘘付くのが下手なんだなと、思った。

「ぃや、アラタは酒癖悪い…よ?」

「何?!お前は、また僕を裏切るのか!!」

「仲間になった覚えが無いから…ね?」

「酷いな!お前は!」

「アラタの、酒癖の方が酷いよ」

「ぼっ、僕は!さっ、酒癖は悪く無いぞ!」

「酒癖悪いよ……、初めてお酒を飲んだ日覚えてる…かな?ぃや、覚えてる訳無いよ…ね?教えてあげる…よ?」

アラタさんは、ワザとらしく口笛を吹いてリイさんから、視線をそらしはじめた。

「僕の家で、飲んでさ…、僕が大切にしてたお皿とか、コップとか…さ?窓から、投げ出すし…ね?僕が、入るなって言った部屋に、潜り込んで…さ?僕の、仕事で使うデータを全て消す…し?」

リイさんは、その日の事を思い出して凄いムカついてきたのか。顔が、悪魔のように恐ろしかった。

「ぃ、いや!ゆっ、許せ!リイよ!僕は、ワザとじゃないんだ!」

「ワザとじゃないって、言っても僕は怒ってるんだ…よ?前の日に、徹夜して頑張って仕事を終わらせたのに…さ?一週間分の、データが…、アラタが酔っ払って…適当に弄っただけで…さ?全て…全て…消えたんだ…よ?!」

リイさんが、本気でアラタさんに怒鳴りつける。アラタさんは、苦笑いを浮かべて。ジリジリと、コンビニの自動ドアの方へ近付いていった。

「おっ、落ち着け!リイ!もう、2、3年も前の事じゃないか?!」

「その2、3年前、アラタがやった事は、僕にとったら犯罪…、……ぃや死刑に近い事なんだ……よ?」

「すっ、すまん!この通りだ!」

と、アラタさんはリイさんに普通に謝った。腰を曲げただけ。

「へぇ……、アラタって、その程度でしか謝れないんだ…ね?」

「ぃや!そんな事は無いぞ!」

と、言うか。……コンビニの自動ドアの前で、ケンカしないで欲しいよ……。

「じゃあ、どうやって謝れる…の?」

「ぅっ……。そうだな……」

アラタさんは、急にしゃがんだと思うと。リイさんに土下座をし始めた…と、思うと。何故か、アラタさんの体は後ろに倒れていって。自動ドアが開いて。

アラタさんは、コンビニの外の前で、少しころがって。スーツが、ボロボロになりながらも体育座りをしていた。