「優!…今日は、バイト?」

学校終わりの、チャイムが鳴り、レンが犬みたいに私の所へ駆け寄ってきた。

「そういうレンは、バイトいつ来るのよ?」

「いや、ちょっと面倒臭くて……」

私とレンは、同じ所で働いている。レンからの紹介で入った。暇潰しで。…意外に、働いて良かったなっと、今は思ってる。何故だか…。

「嘘だー」

「うん。嘘…。ちょっとね…。今度行くよ。期末テスト終わったらね」

「期、末テス…ト……」

すっかり忘れてた……!……うわぁ……。今年も、お兄ちゃんに勉強教えてもらおうかな……。悔しい位に頭が良いお兄ちゃんに……。

でも、お兄ちゃん仕事忙しいし……。あ゙ーー!!!

「じゃあ、今度皆で勉強会でもする?近い日に。範囲表、来週配られるし?」

「えっ?……良いの?」

地味に、この3人頭良いんだよな……。普段、頭悪い事言ってんのに……。

「うん。カナ達にも、聞いてみるよ」

「ありがとう!レン」

「いーえ。…その代わり…」

「えっ?何?」

「今度、一緒に遊ぼうねー!」

「えっ?……全然良いよ」

「ぃやったー!じゃあ、バイト頑張ってねー!」

レンは、後ろを向きながら笑顔で両手をブンブン振って教室から出ようとする。だけど、後ろをちゃんと見てなくて、教室の壁に頭を思いっ切りぶつけてた。

「いったぁーーー!!!!」

レンの、悲鳴が教室全体に響いた。

「流石、バカだね」

私は、溜め息をついてレンに近寄った。

「痛いょ……。絶対に、タンコブ出来た……。ほら、見て……」

レンは、前髪を上げて私にオデコを見せてきた。……確かに、タンコブ出来てる……。

「大丈夫?……って、大丈夫じゃないよね……。保健室行く?」

レンは、急に顔を真っ赤にした。

「へっ?いゃ、だっ、大…丈夫…です…。はい、……大丈夫……」

「そう?一応行っといた方が…」

「いっ、良い!大丈夫!もう、全然痛くない!ほら、もう壁に頭を何度もぶつけられるから!見てて!」

レンは、笑顔で私を見てから。教室の壁に、頭を何度も。何度も。ガンガンぶつけてた。

いや…本当に…。バカなのか?レンは…。

「ちょっ、本当にレンやめなって。端から見てたら、凄い変人だよ?」

「大!丈!夫!元!々!僕!変!人!だ!か!ら!」

壁に頭をぶつけながら、途切れ途切れにレンは喋る。

「わっ、分かってるから!変人だから!だけど、もうやめなって!」

私は、レンの首根っこを引っ張って教室の壁から引き剥がす。

「ほっ、ら、ね?出来たぁあぁあぁぁ……」

「ちょっ!大丈夫?!ちょっとレン?!」

レンは、ヘラヘラっと笑ってから気を失って私に倒れ込んできた。

その後、レンを引きずって保健室に運んだ。レンの事は、先生に預けて私はコンビニに向かった。

この後、不幸が起こると知らずに……。