「ふふ…、優ちゃん照れてる…ね?」

「てっ、照れてません!!」

「よし…、優ちゃん…、バイトっていつ終わるの…かな?」

「後、5分位です。で、お兄ちゃんが迎えに来てくれるのは、10分後です」

「じゃあ、その5分だけだもさ…、一緒に居よう…よ?」

「はい、分かりました」

その後、レジの所でリイさんが。皆さんの小さい頃の思い出話を私に話してくれた。

リイさんは、2、3の頃。本人は、覚えて無いけど、お母さんに聞いて知った話。
両親の車のトランクに入って。寝てたらしくて……。だけど両親の2人は、リイさんが車のトランクで寝てると、知らなくて。リイさんを探すのに、ご近所の皆さんや。警察と一緒に探したらしい……。

リンさんは、幼稚園の頃。
デパートで、お父さんだと思って手を握った人が。オカマのオジサンで、ビックリして泣いたらしい。

アラタさんは、小学生低学年の頃。
猫だと思って近付いたらコンビニの袋だったらしいケド……。袋だと、勘違いした自分を認めたくなくて1ヶ月間。そのコンビニの袋に、エサを与えてたらしい……。

3人揃って、本当に。小さい頃から、変人なのか。純粋なのか。分からない。

でも、小さい頃の皆さんを知れて。……正直、嬉しかった。

「優ちゃん、バイトお疲れ様。もう、帰って大丈夫だよ?」

リイさんの、昔話を聞いてる途中に。ヨト先輩が、休憩室から顔を覗かせて微笑んだ。

「はい。お疲れ様でした…」

私は、ペコッと頭を下げて。更衣室に戻って着替えてから、リイさんの所まで何故か?小走りで向かった。

「リイさん」

「あっ、優ちゃん…待ってた…よ?」

「お待たせして、ごめんなさい……」

「全然大丈夫…だよ?好きな人を待つ時間も、楽しいから…ね?」

「……………」

「でも、流石に…、僕が知らない男の子と話してたのは…、ちょっと嫉妬しちゃた…な?」

リイさんは、頬を可愛らしく膨らませた。

「ふふっ……」

「どうして、笑う…の?僕、心臓苦しかった…のに?」

「ごめんなさい。ちょっと、可愛いなって思ってしまって…」

「そっか…、優ちゃんは僕が可愛いって思ってるんだ…ね?」

「……ごめんなさい……」

「何で謝るの…かな?僕は、嬉しい…よ?」

「そうなんですか?なら、良かったです……」

「でも、優ちゃんには負ける…かな?」

「そんな事無いですよ。リイさんの方が可愛いですよ」

「いや、いや優ちゃんの方が可愛い…よ?」

「リイさんですよ」

「バカだな!優に決まってるだろ!」

隣から、聞き覚えのある声が聞こえて。私は、振り向く。そしたら、スーツ姿のお兄ちゃんが居た。

「先輩…だ?」

「お兄ちゃん、居るなら声掛けてよ」

「いや、それがよ?優が可愛すぎて足が竦んだんだよ!」

「意味分からないし……」

私は、マジで呆れて。溜め息を吐く。