「ふふっ…。そうですね……」

私は営業スマイルじゃなく素の笑顔が零れる。

…………あれ、なにか変なこと言ったかな…?

「……この人、ワザと…かな?」

「絶対にワザとだな」

「うん、うん。リイとアラタの言う通りだと俺は思う」

3人は顔をほんのり赤くして私の事を見る。

「何がですか?後、何分コンビニにいる、つもりですか?…早く買って早く帰った方が良いんじゃないです?」

私は、営業スマイルで話しかける。すると、変人達は、コンビニの時計で時間の確認をした。

「あぁ、そうだな。仕事の休憩も終わりそうだ」

「あ、本当…だね?」

「てか、後10分で終わりじゃん!」

「え……?仕事……!?」

仕事=勉強?仕事=会社?どっち?まさかの、私より年上だったのかな?!

「俺達、ある所の会社員なんだ」

「そう…だよ?…多分、君より年上…かな?」

「ていうか、絶対年上だ!」

「…………!?」

失礼だけど…。みっ、見えない…。性格が幼すぎる…。………!?…今気付いたけど…。

スーツ着てたの!?……顔しか、見てなかった……。

いや、……。脳が先に現実を知ってしまって、私にバレないように、あえて、スーツに目を入れようとしなかったんだな?

「今、見えないって思っただろ!誓うぞ!僕達は、れっきとした大人で、会社員だ!」

「会社員…だよ?」

「これは、嘘じゃないからね」

嘘にしか聞こえない私は、本当に冷たいのかもしれない……。

「…………………」

「さて、早く仕事を終わらせて、またコンビニに来ないとな……。じゃあな」

「じゃあね」

「また、後で…ね?」

え、ちょっ……!!

「あ、あのお客様!」

私が呼び掛けたのが、ちょっと遅かった。ビィービィーと、万引きの機械が鳴った……。

「あ、お会計するの忘れてた…」

「どうしよう…かな?」

「んなもん…。レジに行くしかないだろ…」

3人が、トボトボとレジまで歩いて来る。

「「「お会計お願いします」」…ね?」

はぁ……。気づかなかった私が一番、悪いよね……。

「はい……。お茶、120円。肉まん200円。チョコレート100円。合計420円です」

「皆、自分のお金を早くだせ!」

「はい…。出した」

「出した…よ?」

「420円、丁度お預かりします。…ありがとうございました…」

私は、商品を袋に入れて渡す。そのとき、変人達3人が同時に手を出してきた。

「俺が持つよ」

「いや、僕が持とう」

「僕が持つ…よ?」

いやいや、誰でも良いじゃないですか…。私の仕事時間が少なくなる……。

「……誰でも良いですから早くして下さい」

「じゃあ、ジャンケンだ!」

「望むところ!」

「僕が勝つ…かな?」

「「「最初はグー!ジャンケンポン!」」」

……………。

「ありがとうございました」

ジャンケンに勝ったのは、星座占い1位の可愛い人だった。その人は、何故かコンビニを一周回って、私から袋を受け取った。

「あ、そうそう」

「………………?」

コンビニから出ようとして、イケメン変人が私に話しかける。

…今度はなに?また、何か変なこと起きるのかな……?

「バイト終わったら、コンビニの前で待っててね?アナタと、デートしたいから」

「ふざけた事を言うな。…君は、僕の言う事を聞けば良いんだ!バイトが終わったら、コンビニの前で待ってろよ!」

「僕もデートしたい…な?…だから、待ってて…ね?…約束…だよ?」

そう言った後、3人は、コンビニから出て行く。最後に私に手を振って。

私は、お辞儀をして直ぐに前に向き直す。……数人のお客様が、怒った顔で私の事を睨む。

あんなイケメンとペチャクチャ話してたせいで、女性のお客様達に睨まれた………。

あれもこれも謎のイケメン変人達のせいだ!…絶対に、デート何かしてやらない…。


って思ってたのに…。自分で言うのも、あれだけど…。私は、とことんお人好しだった…。