「おっ、お兄ちゃん……?」

「………なーんちって!ビックリした?」

「…別に…。ビックリしてない」

嘘。凄いビックリした。お兄ちゃんに…。…あんな冷たい瞳で、睨まれたのが初めてだったから…。

「なーんだ。優を驚かせようと思ってたのにな!」

「……相変わらず、バカな事しかしないんだね」

「褒め言葉ありがとーう!」

「……お兄ちゃん、何か変」

「……………」

さっきから、テンションと話し方が…。いつものお兄ちゃんじゃないと思うのは私だけ?

「……………」

「いやだなー!俺は、いつも変何だよ!」

「……あっ、そうか。だよね。ごめん」

「って、酷っ?!…そこは、認めるなよ!」

「だって、考えたら本当に毎日毎日変だったんだもん」

「優は、酷いなー!」

お兄ちゃんが、笑いながら私の部屋のドアノブに手を掛けた。でも、お兄ちゃんの声が少し震えてた。…泣いているのかのように…。

「お兄ちゃん」

「……何だ?」

「私の事、ここまで育ててくれて、ありがとう」

「……きゅ、急にどうしたんだ?」

「何となく。お礼が言いたくて」

「じゃあ、お礼として優をくれよ」

「嫌だよ」

お兄ちゃんが、私に背を向けながら、ふざけて言った。

「まぁ、良いや。いつか、襲うし」

お兄ちゃんは、部屋から出て行く最後に、最高にムカつく笑顔で捨て台詞を吐いて出て行った。

私は、部屋の壁時計を見る。

「……きゃゃやぁぁあ!!もう、7時半?!カナ達来ちゃう!!」

私は、急いで制服を着て顔や歯を洗う。

「お兄ちゃん!!今日、朝ご飯いらない!学校で食べるね!お弁当、作れなかった!ごめん!」

「おぉ、そんなに焦ると転っ…」

お兄ちゃんが、私を心配して直ぐ、私は小さい溝に足を引っ掛けて転んだ。

「ぅあっぶねぇ……」

お兄ちゃんは、私をギリギリ助ける。私はボフッと、お兄ちゃんの胸の中に倒れ込んだ。

「…ごめん。ありがとう…」

お兄ちゃんは、後ろから抱き締める感じで私を抱き締めた。

「…………。行ってらっしゃい。優」

「…うん。行って来ます」

私は、お兄ちゃんに笑顔で手を軽く振ってリビングから出て行く。家の玄関を開けると、カナが、私の家のインターホンを押そうと、しようとしてた所だった。

「あっ、優!おっぱよう!」

「おっぱよー!」

「死ね」

「「おっぱよー!」」

「お願いします。消えて下さい」

「「おっぱよー!」」

「……はぁ……。おはよう」

「そこは、」

「「おっぱよー!でしょ!!」」

「……………」

私は、カナ達を無視した。カナ達の横を通り抜けて学校方面へと、歩き出す。

「優ー!怒らないでー!」

「ごめんって!優ちっ…」

私は、レンの顔を軽く平手打ちで叩いた。

「レン…。私の名前の後に“ちん”つけるなって言ってるよね?」

「……ごみぇんにゃちゃい」

レンが、涙目で私に謝った。流石にやり過ぎたと、思い私は、叩いたレンの頬を優しく触れた。

「ごめん。やり過ぎた。大丈夫?頬、赤くなっちゃった…」

「だっ、だだだだ大丈夫……」

「それなら良いけど…」

「ヒューヒュー!レン顔真っ赤ー!」

「うううううるさい!きょ、今日凄い暑いんだって!!」

「そんなに、暑くないよ?」

「ぼっ、僕にとっては、凄い暑いの!」

「そうなの?…だって、カナ」

「へぇ、暑いね……。汗出てないよ?」

「僕は、汗が出ずらい体質なの!」

「へぇえ!!優に、レンの好きな人バラそうかなー!!」

「なっ!!ちょっ、それだけは!!」

「2人とも、ヤメな。子供じゃないんだから…」

「「……はーい」」

私達は、その後、小石を蹴りながら学校に向かった。…でも、途中でカナが蹴った小石が、知らないおじさんの顔に当たって、3人で必死に逃げた。

本当に、疲れました。色んな意味で…。