家に戻り、優の手を握ってた方の手を見つめる。心が、くすぐったくなったのを感じた。でも、やっぱり真由美の面影が優と重なる。

「僕は最低だな……」

純粋な女の子を、利用してる感じだ。勿論、優の事は好きだ……。でも、どこかで、僕は真由美と似てるから好きになったんじゃないかと、自分でも分からなくなる。

「リンや、リイは、優に真由美の面影を感じているのか?」

もし、そうだったら幼なじみ揃って最低だ……。……真由美が、この世に居ないからと、優を利用してるのか……?

「僕は、一体誰が好きなんだ……」

真由美の笑顔…。優の笑顔…。…やっぱり、似ているんだ…。仕草や、喋り方。声や顔。髪質や髪型。…全て一緒。…ドッペルゲンガーのような。…違うのは、年齢と性格。と、優から放たれてる、何か…。

「やっぱり……。忘れられてないんだな……」

『アラタのバーカ』

『アラタ何か嫌いだもーん!』

『ゴメンね?秘密にしてて……』

僕は、昔の真由美を思い出して自分に嫌気がさす。近くに、あった真由美と僕達の写ってた写真たてを投げる。

「割れてしまったな……」

僕達と、真由美の狭間、丁度の所にヒビが入ってた。

「……ぅ……っ」

僕はバカだ……。最低だ……。優を利用するなんて、やっぱり出来ないんだ……。だけど、真由美との思い出も無くしたくないんだ……。

「僕っ、は都、合が…良いな」

卑怯者…。弱虫…。裏切り者…。

「僕は、何て罰当たりな男だ……」

過去に好きだったんだ。君に似てる女を……。優と似てる女を……。僕の初めてを全て。初恋も…。初めての失恋も…。初めての嫉妬も愛も。全部、優に似てる女に捧げた……。

優に会えると知らなかったから……。優と笑い合えると知らなかったから……。こんなにも、真由美以上に優を好きになれると知らなかったから……。

「……こんなにも、優が好きだったなんてな……」

偶に、見せる素直な笑顔。偶に、見せる純粋な笑顔。偶に、見せる寂しそうな笑顔。偶に、見せる可愛い笑顔。それ以外は、全部作られている笑顔だ。でも、真由美とどこか違う笑顔は、僕の心を動かす。

「真由美の事は、忘れるように頑張ろう……。優を利用するなんて、考えれない……」

それに、優と今度デートが出来るんだ。楽しまないとな……。

「さて、ドコに行こうか……」

また、ホテル等とふざけた事を言うと怒るよな……。……怒り方が、可愛くて、ついついふざけてしまう……。

「初めて優を見たときは、ビックリしたな……」

真由美に、似すぎてて……。でも、真由美とどこか違った。……太陽みたいな、笑顔を僕は遠くから見て、恋に落ちた。

「僕の心が、温かくなった。太陽の光が、射し込んできたみたいにな…」

……いつ、話掛けようか迷った。でも、……あの日、リンが話掛けてて、嫉妬したが、リンのお陰で優の色んな事が分かった……。

素の笑顔を見て、僕はもっと優を好きになった。その反面、怖くなった恐くなった。

真由美と同じ様に、僕達の前から急に消えるんじゃないかって。不安になった…。

「流石に、もう嫌だ。…あんな気持ちは…」

大切な人が、いなくならないように……。僕は、全力で守る……。

「あっ、……。仕事をしなければ……」

優と、デートに行けなくなるな…。

「さっさと終わらせよう」

僕は、仕事を素早く的確に終わらせて風呂に入って、髪の毛を乾かす。

明日と、明後日は優に会えないが、デートに行けるんだ。……我慢しよう。

布団に、潜り込み今日、優と過ごした時間を思い出しながら眠りについた……。