「ちょっと待っててね…。今、ピンセット探してるから…」

優の平然とした態度に僕は、パニック状態になる。だっ、だって!ピンセットを僕の中に、入れるって言ってるんだよ?!絶対に痛いよね!?

「ぴっ、ピンセット?!…絶対痛いって!中に入れたら、絶対痛いって!…てっ、ていうか先生が、いない保健室で、そんな大人がするような事シちゃダメだよ!まだ、段取りがあるっていうか…。まだ、早いというか……。今日、初めて会ったばかりなのに……」

「………はっ?」

「………へっ?」

優の手には、まんま手当てするような道具があった。僕は、自分の勘違いに段々気付いてきて、急に恥ずかしくなって、保健室の角に逃げる。

「……レン?どうしたの?」

「なっ、何でもない……」

恥ずかしい……。僕ってば、凄い変態だ……。最低だ……。助けてくれた、女の子になんていう事を考えてたんだ……。
でも、一応僕も男だから、当たり前って言ったら当たり前なのかな……?

「後、大人じゃなくても出来るよ?手当ては…」

「もう、違うんだよ…。優には絶対に言えない……。今、僕に話掛けないでぇ…」

僕、今恥ずかし過ぎて死ねる……。

「えっ?…わっ、分かった…」

優は、僕の後ろのベットにギシッと音をたてて座った。優のたてる音に、少し心臓がドクッと高鳴る。

「そういえば、カナとチカ来ないね…。いくら何でも遅いよね…。ちょっと見てくるね?」

「ぅっ、うん……」

優が、僕から離れる。と、一安心してると優が静かに走ってきて僕の耳元で『先生に捕まってる。後、先生が来るかも…。バレたら困るから隠れよう?』っと、囁いた。

「どっ、どこに?」

「ベット、ベットの下!」

「僕、右」

「じゃあ、私、左」

僕達は、ベットの下に潜り込んだ。…静かな廊下に、先生の足音が響いて保健室に入ってきた。
……優が、確認してなければ絶対にバレてた……。

「誰かいるかー?」

先生は、掃除用具箱やカーテンを調べてた。一通り調べると、いないと思ったのか保健室から出て行った。

「「…………」」

ばっ、バレなかった……。良かった……。

「バレなかったね…」

「うっ、うん……」

「早く出て、怪我の手当てしようか?」

「そうだね」

僕達は、ゆっくりベットから出る。と、そこには、カナとチカが立ってた。

「ぅわゎあ!!」

「きゃぁぁ!!」

「「シィー、シィー!!」」

「「……………」」

僕達は、両手で口を塞いだ。

「本当に、先生ったら嫌な人達ね。保健室に行くって言っただけで、怒られた。意味分かんない」

「本当!本当!…チカが、宇宙人と会えるかもってふざけて言ったら先生は、もっと怒るしさ!!」

「それは、怒るよ」

「うん……」

「だって!UFOだ!って言って逃げようとしたら、全然引っかからないんだもん……」

「そりゃあ、そうだよ……。じゃあ、レン怪我の手当てするよ?」

「あっ、うん……」

僕は、近くの椅子に腰掛けた。優は、ピンセットで綿をつかみ消毒液を染み込ませて僕の口元に優しく当てる。

「……………っ」

ちょっと、ピリッと刺激がする。

「…ごめん。…大丈夫?」

優が、僕の怪我を優しく触った。…何故か、優の触れた怪我は、熱を持ち出さした。

「だっ、大丈夫、大丈夫……」

優は、痛かったら直ぐ言ってね?と言って、僕の怪我の手当てを素早く完璧に終わらせていった。

「はい、出来たよ」

「ありがとう」

「多分、今日はコレで大丈夫だから……」

「うん…」

「じゃあ、授業に戻りたいけど、もう遅いから、この時間はサボろうか…」

「良いね!それ!」

「ここじゃあ、いつかバレそう……」

「私、屋上の鍵持ってるよ?」

チカが、ブラーンっと鍵を僕達に見せる。……って、何で持ってるの?!

「先生に、借りてから返してないんだ!」

「返しなさいよ。でも、ちょっと助かったかも……。じゃあ、バレないように屋上に行きますか!」

「「「おぉお!!」」」

僕達は、先生の目を盗んで最上階まで、上がった。チカは、先生に返してない屋上の鍵で、屋上の扉を開ける。