「優。今度の土曜日は空いてるか?」

「へっ…?…えっと…。確か空いてます」

「じゃあ、その日、僕と正真正銘のデートをしよう。勿論、2人キリでだ。変な事は、多分しない。僕は、本気だ」

「多分……?」

「あぁ、多分だ。僕は、嘘を付かない。正直者だ!」

「そうですか……」

正直過ぎても、ちょっと困る……。

「で?YESかNOどっちだ?」

「ちょっと待ってよ!優さん、俺は金曜日誘うと思ったんだけど…。バイト終わってからで良いんだ…。俺ともデートしよ?」

「僕は、日曜日…かな?デートしたい…な?」

「えっと……」

3日続けて……!?

「どうせなら、皆のデートを受けろ!その方が良い…」

「うん!アラタの言う通り」

「僕も、それに賛成…かな?」

「………。私に、拒否権は無いん…」

「無い!」

「………。そうですか……」

「だから、優は強制的に僕達のデートのお誘いにYESを出さなければ、いけないんだ!神がそう告げてる!」

「…………」

「ほら!YESと言っ…」

「良いですよ…。別に、デートに行っても」

「………えっ、えぇぇえ?!」

「えっ、ちょっ……?」

「なっ、なな何で…かな?」

「だって、アラタさんが私に拒否権は無いと言いました。…だから、良いですよって言ったんです…」

「いっ、良いのか?…後で冗談とか言うなよ?」

「そんな事言われたら、俺達傷付く所か、死んじゃうからね?」

「冗談は嫌だ…な?」

「冗談じゃないです。…拒否権が無いんですから、行くしかありません」

って言っても私は少しだけ。…ほんの少しだけだけど…。皆さんとのデートが楽しみだと思った。予想が付かないから…。楽しみ…だと思う…。

「そうか…。おい、リイ。僕の頬を出来るだけ強く叩っ…」

アラタさんが、リンさんに向き直した時に、リイさんは、アラタさんの頬を思いっ切り強く殴った。

「ガホッ……」

「殴った…よ?」

「お前は、人の話を最後まで聞け!僕は、『出来るだけ強く叩かないで、弱く叩け』っと、言おうとしたんだ!お前のパンチをまともに、くらったら死ぬじゃないか!」

「死んでない…よね?」

「もしかしたら、死んでたかも、しれないじゃないか!どうして、くれるんだ!鼻血が止まらないぞ!」

「はぁ……。ちょっと待ってて下さい」

私は、休憩室から救急箱を持ってくる。
本当に、仕事を増やさないでほしいね……。

「もう、アラタ大丈夫?奇跡だね。リイのパンチくらって生きてるって…」

「僕、そこまで強く殴ってない…よ?普通に、殴ったん…だよ?」

「じゃあ、これは宣言出来るな!お前の普通は、異常だな!」

「……アラタさん、ちょっと黙ってて下さい。消毒液が口に入りますよ?」

「ん………」

アラタさんは、珍しく静かに黙った。

「……はい。出来ました…。もう、喧嘩はしないで下さい…」

「これの、どこが喧嘩なんだ!あれは、暴力だ!」

「アラタさんが、殴れと言ったんです」

「僕は、叩けと言った。しかも、弱くとな!途中で、リイに殴られて最後まで言えなかったけどな!」

「はい、はい。…どこか痛い所は、無いですか?」

「無い!強いて言うなら、心が痛い!」

「そうですか…。じゃあ、私はもう、バイトの時間が終わるので、さようなら。着替えて来ます…」

「おぉ!覗いてやるか?」

「いや、死んで下さい」

「また、心に怪我が……」

「それでは、さようなら……」

私は、皆さんにお辞儀をして更衣室に戻り私服に着替えて、コンビニから出た。