高校生になって、すぐに始めたコンビニのバイトで休日に働いていた私は営業スマイルを撒き散らす。

「ありがとうございました。またのご来店お待ちしております」


はぁぁ。面倒くさい。コンビニのバイトって、何回も同じ事をリピートリピートリピート。本当に飽きるって!!

ウィーンと、自動ドアが開く。今日は、お客様の顔を見るだけでも、気分が悪い。例え、今入ってきたイケメンでさえも……。



モデル顔負けのスタイルに、金髪で前髪の少しが、黒になっていた。瞳の色は水色で幼さが残ってる。笑ったら、優しい笑顔を振りまくんだなっと、勝手に想像を膨らませる。

「あの。コレ欲しいです。あ、後!アナタも欲しいです!」

イケメンお客様は、私の前に来て肉まんを頼む。最後に、問題発言が聞こえたけど、そこはあえてスルー。

「こちらで、よろしいでしょうか?」

私はイケメンお客様が選んだ、肉まんを見せる。

「あ、はい!……あの、聞こえませんでした?俺が、言ったこと……」

イケメンお客様は、純粋な幼い瞳で私の目を覗き込む。

私は、イケメンお客様に見つめられ、思わず視線を逸らした。


「何の事でしょう?」

「やっぱり……。じゃあ!アナタを、俺の命と引き換えに欲しいです 」

バシッと、イケメンお客様は自分の胸を叩いた。

「合計で、200円になります」

私は、構うのが面倒くさくて肉まんの値段ボタンを押すと、またスルーをした。

なのに、イケメンお客様は目を見開く。イケメンお客様の反応が不思議で、私は首を傾げる。


「え……?アナタも入れてですか?安過ぎじゃないですか?俺、結構お金貯めて持ってきたんだけどな……」

そう言った、イケメンお客様……。
いや、ここは、謎のイケメン変人と言おう。

謎のイケメン変人は、財布を取り出して、お金の束を見せてきた。

……本当だ。……結構分厚かった。

「誠にすいません。…私は、商品じゃないんです」

こういうバカな人間共がいるから、面倒くさいんだよ…。私は、人間だっつの!!

私は、怒りが混じった感情を出さないように、営業スマイルで、やり過ごす。

「えぇ……。じゃあ、どうやったら、アナタの事を貰えますか?」

謎のイケメン変人は、私の瞳をジッと見てきた。

「………さぁ?」

私は、謎のイケメン変人の綺麗な瞳に吸い込まれそうになってしまう。

吸い込まれそうにならないように、私は適当に曖昧な答え方をした。

「本気で答えて下さいよぉ…」

綺麗な水色の瞳に、うっすらと涙を浮かべる、謎のイケメン変人。

不覚にも、可哀想っと思ってしまった……。
あえて、ココは謎のイケメン変人の真逆のタイプを言ってやるか……。

「じゃあ、変人じゃない人で」

「俺って、変人ですかね?」

真顔で、謎のイケメン変人は、聞いてくる。んなもん、ハッキリ『はい。アナタは変人です!』なんて、言えるわけ無いじゃん……。

「今日初めてお会いしたので、そこまでは分かりません」

「じゃあ、毎日来て良いですか?」

「ご勝手にどっ……。勿論です。嬉しいです」

ついつい本性が出そうになった私は、営業スマイルでニッコリ微笑んで、ごまかした。

だって、沢山来てくれたら給料あがるし。
………………?
何で、謎のイケメン変人は、顔が赤いんだ?
風邪かな?うつさないで、もらいたいんだけど……。

「……………」

「…………?」

「やっぱり、今、アナタが欲しいです。お願いします!」

バンッとその場で頭を、レジにぶつけながら私にお願いしてきた。

でも、残念。私は冷たいから、そんなので簡単に良いよ、なんて言わないから。

「……丁重にお断りしていただきます。お客様なら、もっと綺麗で可愛い女性がお似合いですよ?」

「アナタは、充分綺麗で可愛いです!」

謎のイケメン変人は、真剣な瞳で私に訴えかける。

不覚にも、少しだけ嬉しいとか思ったりして。でも、私はそんな嘘はきかないから。


「ありがとうございます。あの、お客様の後ろに次のお客様がいるので、肉まん買ったら、レジから離れていただけないでしょうか?」

嫌みったらしく私は、後ろにいたお客様を手のひらで差した。


「あっ、すいま……。アラタ?!」

謎のイケメン変人は、後ろを振り向いて謝ろうとした。


「よぉ。リン。早くどけてくれないか?僕も、欲しい物があるんだ」

そう言った、謎のイケメン変人のご友人様らしき人は、お茶を手に持ってた。

まさかの、ご友人でしたか………。

……………。類は友を呼ぶ。この言葉がまさにピッタリだった。

鼻がスッと高くて、吸い込まれそうな位深い深い海のような、青色の髪の毛と瞳。
背は、謎のイケメン変人よりは低いけど、170は越えてるな……。