翔織が話し終えて。

私は、泣きながら彼に しがみ付く事しか、出来なかった。

そんなに辛い道を歩いて、
苦しい過去を背負って。

彼は、どれだけ孤独だったんだろう。

何も言えない私達の中で、曽根倉君だけが口を開く。

「……それで、祐貴さんは、もう釈放されたのか?」

翔織は黙って頷く。

「人を殺して、養子を殺しかけて……そんな事を して……1年も経たない内に!?」

翔織は、やっぱり頷くだけ。

「そんな……そんなの おかしいだろ!?世の中どーなってんだよ!?」

曽根倉君の怒鳴り声が、部屋に虚しく響く。

「大体、金の為だけに そんな!!」

「仕方無かったんだ。」

翔織の掠れた声。

「仕方、無かったんだ……佑美さんは、病気だった。治療に、沢山の お金が必要だったんだ。」

翔織の顔が、つっと歪む。

「俺が……生きていなければ……。」

「そんな事 無い!!」

私は叫んで、翔織の銀髪を、必死に、必死に、抱き締めた。

「私、翔織に会えて……恋が出来て良かった……だから、生きていなければなんて……言わないで……一緒に、生きて……。」

翔織の瞳から、涙が溢れる。

「……海崎……海崎……。」

翔織は何度も私の名を呼んで、私を求めて来た。