俺は、父の弟である叔父の祐貴さんと、その妻の佑美(ゆみ)さんに引き取られた。
俺の親戚は、彼等しか居なかった。
「今日から俺が、君の父親だよ。宜しくね。」
そう言って差し出された手を、俺は握らなかった。
「宜しくお願いします。」
それだけ言って、目を逸らす。
人生に不意打ちを喰らうのが、怖かった。
誰かに心を許してしまえば、いつか その人を喪う時、また あの苦しみを味わう事に なる。
それなら、誰にも心を許さなければ良い。
そうすれば、いつか来る別れの時、俺は傷付かなくて済む。
そう言った、歪んだ思想が、頭を埋め尽くしていた――。


