俺は病院の一室で、椅子に座っていた。
哀しくないのは、
泣けないのは。
これを現実だと、認められないから。
俺は黙って病室を出る。
その時、何かが どんっと ぶつかった。
見ると其処には、同い歳くらいの少女が1人。
金髪をツインテールに結い上げた少女は、蒼い瞳に大粒の涙を浮かべていた。
「お父さんが……死んじゃったの。」
そう言って、見ず知らずの俺に抱き付く。
ああ、この子も、大切な人を、失くしたんだな……。
そう思ったら、泣きそうに なって、俺は ぎゅっと唇を噛み締めた。
「俺も……父さんと母さんが、死んじゃった……。」
そう呟くと、幼い少女は俺を見つめた。
「私、みさき。貴方は?」
「俺は……としき。」
少女は今にも壊れてしまいそうで。
でも、この子には、母親が居るんだろうな。
そう思ったら、涙が一筋、頬を滑り落ちて行った。


