「そっか…そうだったんだ」

安部くんと別れたあと、家に帰るなり、あたしはカオリンに電話していた。

カオリンはいつものカオリンで、あたしは余計に安心できて、包み隠さずすべてを話した。

自分の心の中に住む嫉妬心も。

「でも、エリはすごいよ」

「え?」

「そんなふうに自分の気持ちに素直に言えるなんてさ、なかなかできない」

「なんかほめられてるんだかよくわからないけど」

「ほめてるに決まってるじゃん。だって、あたしにはできないもの。そんなふうに自分の気持ちを伝えるなんて…」

「やだ、まるでカオリンがあたしを羨ましがってるみたいじゃん。その言い方」

カオリンは誰もが認めるクールビューティーで、勉強だってよくできる。

女の子ならみんなカオリンみたいに生まれてきたかったって思うはず。

そのくらいカオリンはすてきな女の子なのに。