「だからって、何も…」

「河辺くんは英才教育をされてきましたから。一人っ子ですから弁護士のお父さんを継ぐように育てられたんです。だから大学は当然W大の法学部」

「でも、だったら実力でその推薦を勝ち取ればいいじゃない」

「それが無理なんですよ。学校の成績も、部活の大会成績もすべて安部くんのほうが上回ってる。このままいったら、安部くんが辞退しない限り、河辺くんが推薦を勝ち取る方法はないんです」

「それじゃあ…」

「気をつけてください。安部くんにとっていちばん大事なのは持田さんだって、河辺くんは思ってるんです。だから持田さんに危害をくわえることだってないとはいえない」