とっておきの恋

『ふうん、呼び出しってそういうことだったんだ』

夜カオリンに電話した。

生徒指導室でのことを詳しく報告。

『将来の夢、ちゃんと持てって言われたけど、どうやって見つけたらいいのかなあ』

『夢ねえ』

『ねえ、カオリンはもう決めてるの? どんな仕事につきたいか』

カオリンはいったん言葉を飲み込んだ。

『安部くんはね、弁護士になりたいんだって。あたし理系とばっかり思ってたからすごく意外に思って』

『弁護士…?』

それっきり、カオリンは黙ってしまった。

何か考え込んでいるような息遣いが聞こえる。



それがいったい何を意味しているのか、そのときのあたしにはまだわからなかった。