「じゃあ定吉っつぁんかぁぁ」

「彼は『カシカシ』の時に大活躍だったから無理よ」

 霊力を消耗した守護霊は、ある程度休養を取らないとその力が復活しないのだ。


「そうだ。天狗が居たんだ」

「そうね。高タカちゃんが居たわねっ! その後の様子も聞きたいし、高島坊に頼みましょう」


 咲邪はテディベアを地面に置くと、真言を唱え始めた。


「のおまく……せんだんまあ……かんまんっ!」



 ビシッ ビキビキッ!



 全身に電流が走り、痙攣したテディベアはみるみる真っ赤に変色していく。

 狗賓グヒンの高島坊が降りたのだ。


「おう、高島坊ぉ。久し振りだなぁ」

「結界師か。封印師、霊媒師もおるな。先だっては世話になった」


 口では礼を述べてはいるが、真っ赤なテディベアはあぐらをかいていて、どうも横柄な態度を取っているように見える。