「ゼロ!なんだってんだ! 意味が解らないんだっ」


 リードを引き寄せても動こうとしないゼロに、斬汰はすっかり閉口していた。


「また言いたい事が有るんじゃないの? そうなのね? ゼロ」



  ワンワンッ アフッ



 咲邪を見ながら千切れる程に尻尾を振るのを見ると、やはり予想は当たっているようだ。


「でもなぁ、皆ゼロと喋る為に降霊するのぉ、嫌がるじゃないかぁ」


 守護霊が降霊状態に無いと霊能犬のゼロも喋る事が出来ない。しかし守護霊とて結界の外で降りるとなると、多大な霊力を消耗してしまうのだ。

 犬と喋る為だけに呼ばれるというのも、守護霊達に取っては沽券に関わる事らしい。


「誰が一番良いかしら」

「悪徳奉行と狐は無理だ。エロ坊主がいいんだ」

「源さん呼ぶにはぁ、エロ写真集が無いとなぁぁ」


 こんな公園の広場でそれ(エロ写真集)を探すのは無理そうだ。