《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》

「どう? ゼロ。臭いは解る?」



  アフッ!



 ゼロは嬉しそうに激しく尻尾を振り、ハァハァ息を弾ませ舌を垂らしている。訳知り顔で考え込んでいた先ほどからは到底想像出来ない、ごく普通の犬がする反応である。


「解るの? 解らないの?」



  アフアフッ!



 小首を傾げてつぶらな瞳を咲邪に向けるゼロ。是なのか否なのか、どうにもハッキリしない。


「ハイだったら吠えなさい。イイエだったら黙ってお座りね? 霊穴の臭いは解るの?」



  アフッ!



 ゼロはブンブン尻尾を振り回し、お座りしながら吠えた。


「駄目だわ、いくら頑張っても無駄みたいね」


 守護霊が降霊状態にないとゼロの知能は『凄く賢い犬』程度まで下がってしまうのだ。


「これはこれで犬らしくて可愛いんだけどね……みんな、どうするの?」


「もぉう一度、仕切り直しだなぁ」


 肩を竦めて覇龍。


「まぁなんだ、そういう事だ」


 腕を組んだ斬汰もそう続くと、咲邪達は霊穴の捜索を諦めて、本職であるミュージシャンとしての打ち合わせを行う為に覇龍宅へと向かった。



──────



 音楽雑誌や崩れたCDの山、あちこちに転がっている潰したビールのロング缶。灰皿からは吸い殻がニョキニョキと生えている。

覇龍の部屋はいかにも『男やもめ』のそれだった。


「やっぱりナンだ。全く気分が乗らないんだ。当然だ」


「そうだなぁ、どうもスッキリしないよなぁぁ」


 斬汰と覇龍は何をするでもなく、ただ床に寝転んでゴロゴロしている。足の踏み場も無い狭い1DKに、手足の長い男と肉付きの良い男が寝そべっているのだから、この部屋の居住性は最悪と言えよう。