「そろそろ差し迫ってきたぜぇ!」

「イェェェェエ!」「キャァァァァァ」


 クロレトは先輩のアーティストが主催するカウントダウンイベントに出演していた。

 きら星のようなメジャーアーティストに混じってのイベント。これも覇龍の才能を買って貰っての登用だが、彼らクロレトに取っては願ってもないチャンスである。


「ちょっと! 斬汰、手伝いなさいよ」

「別に正月だからって着物着る事は無いんだ、無謀だ!」

「もぉうすぐカウントダウン始まっちまうぞぉぉ」


 舞台袖でごそごそとうごめいている咲邪達。新年一発目のステージは各バンドのジャムセッションの後、クロレトが勤める事になっているのだ。


「さぁ準備はいいかぁ?」

「10!」

「9!」

「8!」「帯が崩れてるのよ」

「7!」

「6!」「着付けの係りの人はぁ」

「5!」「もぉう」

「4!」「帰ったぞぉぉ」

「3!」

「2!」

「1!」

「0!!」ドカァァァァァン!


  ジャララララララララ

  タァタァタァタァタァァタタァタァ


 レインボー往年の名曲、ベートーベンの第九をリメイクした『治療不可Dificult to care』を7バンドの10人にも及ぶギタリスト達が掻き鳴らす。

 勿論覇龍も一緒だ。