《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》

「覇龍さん。私も気にしてるんだけど、いまの所全然反応は無いわね。

 霊穴はまだ完全に開き切ってはいない。不幸中の幸いね」


 妖狐の霊である不知火は咲邪の手でテディベアに憑依させられているので、余程霊力を高めない限りはベースの弦が震えることはない。


「でもゼロが最初に感じた時はここじゃなかった。霊穴。移動してる」


 ゼロが訝しげな顔をして呟く。喋れるようになると、表情筋も操れるようになるのだ。


「移動してるってぇ、霊穴がかぁ?」


「そう覇龍。霊穴」


 人や物に開いた移動する霊穴は厄介だ。ゼロを喋れるようにしておくには守護霊を降ろさなければいけないが、降霊状態に置かれると守護霊の霊力はどんどん消耗していく。


「コン吉、まだ行けるわよね」


「うむ。儂の霊力を見くびるな。当然だろう」


 結界の中に居れば霊力を失うこともないのだが、結界は地面を術に依って変異させるので、移動には適さない。

 もし霊穴が通院患者や見舞い客、病院に出入りする車などに開いているとしたら、それを確定するのには大変な時間と労力が掛かるのだ。


「早く何に霊穴が開いたのか確定してしまおう。……しかし病院じゃぁ、犬は連れて入れないなぁ」


「覇龍さん私、エコバッグ持ってるわよ?」


 ゼロは眉間に皺を寄せて咲邪を見上げたが、次の瞬間袋に放り込まれていた。


「そう、ご想像通りです。狭いけど我慢なさい」


「咲邪これ動物虐待」


 フガフガと鼻を鳴らしながらゼロが抗議する。


「院内感染しないようにしてあげるのよ? 動物愛護の精神じゃないの。さ、行きましょう」