「霊穴が開いた! 霊穴が開いた! あの丘のずっとずっと向こうに。ニオイ、風に乗って運ばれて来た!」


 ゼロは水を得た魚のように走り回っている……が。



  ワン! ワンワン! アウ?

  ズズズズゥゥゥ



「それは大変だったわねぇ、私達もこうなる前はあの人魂にいびられたものよ?」



 真っ赤なテディベアと膝を付き合わせて、どこから買って来たのか煎茶の缶をすすり上げ、ほのぼのと愚痴話をしている咲邪。



  アハハッ アハハハッ



 覇竜と斬汰は満面の笑みを浮かべて、カップルよろしく追い掛けっコをしている。


「咲邪! 覇竜! 斬汰!」



  シュボボボォォォッ



「ワッ人魂だ!」


 天をも焦がす勢いで『萌えリン』が現れた。


「人魂じゃねぇべサ!」



  ヒュボッ!



「アヂヂヂヂヂヂヂィィィ」


 小さな人魂を背中に飛ばされ、斬汰はその熱さに走り去った。