フードコートのテーブルで、私たちは2つに分かれて座った。

私と梶君と城島君と芳野君と井方君が1つのテーブル。

他の2年生がもう1つのテーブル。

「誰だったの、さっきの子」

私がコソッと城島君に聞くと、城島君はジュースをすすりながら「いっ君」と笑顔で答えた。

どうして彼らがあの怖そうな2年を小学生みたいなあだ名で呼んでいるのかまったく理解できなかった。

「本名で呼んだりしないの……?」

「だって本名で呼ぶとキレるんだもん」

そう言う城島君に同意を求められた井方君と芳野君が頷く。

梶君はいっ君の顔を知っているようで、「あの子か」と隣りのテーブルを振り返って呟いた。

「少しだけ白化型っぽい子だよね」

梶君の言葉に芳野君が小さく頷いた。

「正式な診断は受けてないらしいけど、若干色素薄いよね。
すごい頑張ってるから、バスケ部内ではかなり人気高いよ」

向こうのテーブルに座っているいっ君は、他の2年生とふざけ合いながら楽しそうに食事をしていた。

食事中はマスクを口からずらしてこそいるものの、取るつもりはまったくないらしい。

顎にずり下げられた白いマスクが、何故だかやけに印象に残った。