髪は西洋人と思われるほど見事なまでの金髪で、肌もやはり西洋の血を疑うほど真っ白。目の色もブルーが入った灰色。

ただ、その顔を覆い隠すように彼はマスクをし、前髪で顔の半分以上を見えなくしていた。

ヤンキーなのかハーフなのかオシャレさんなのか全く謎の外見をした彼は、地面に座り込んでいる城島君たちへと近づいて行く。

「いっ君……」

城島君がボソッと呟くと、金髪の彼は「何?」と明るい口調で言う。

「ごめん、買うのミスっていっ君の頼んだホットドッグだけまだ来てないっていうか…」

城島君の言葉にいっ君と呼ばれた彼は驚いたように目を丸くし、それから気が抜けたように笑った。

「自分で買って来るから、おまえら先戻って食ってろって」

いっ君は井方君の肩をポンポンと叩いてそう言うと、パッと城島君を振り返った。

「どいうせおまえが計算間違えたせいだろ」

井方君に見せた笑顔とはまるで異なる表情に、城島君の表情が凍り付いた。

――違うよ!?

そう思ったものの咄嗟に声が出なかったのは、いっ君が私をまったく眼中に入れようとしなかったからだ。

「うん、ミスった。
ごめんね」

城島君がムリに作った笑顔で言うと、いっ君は小さく舌打ちをして、売店へと走って行った。