遠足の日。
バスの確保ができなかったということを理由に、3年生は全員現地集合となってしまった。
お隣りの県へ行くというのに現地集合だなんて非常識だと少しだけ不満があったものの、他クラスの生徒と一緒に現地へ行けるというのは少しだけ嬉しかった。
学校付近の珈琲チェーン店でトールサイズの飲み物を人数分購入してきた梶君が、駅のホームで1人1人に配る。
「それで、何で芳野がここにいるの」
ストローを指しながらうんざりしたような表情で梶君が言う。
ベンチに腰掛けて石田君と一緒にPSPで対戦していた芳野君が顔を上げて、誤魔化すような笑顔を浮かべた。
「2年はバスで行かなきゃいけないんじゃなかったっけ……」
「いや、俺年齢的には3年だし」
理由にならないような理由を述べて、芳野君は滑り込んで来た電車に乗り込む。
「サツキと一緒じゃないの?」
石田君の言葉に芳野君が「大丈夫」と笑う。
「亜衣ちゃんが俺の代わりにバスに乗車してくれるって言ってたから」
「おいおまえ今すぐ学校戻れ」
梶君がパッと芳野君の肩を掴み、ホームへと下ろそうとすると、芳野君は笑顔のままそれを跳ねのけてサッサと空いている席に座った。
アラームの鳴ったケータイを広げ、彼は大袈裟な溜息を吐く。
「もうバレたのか。早いな亜衣ちゃん」
あっけらかんとそう言うと、芳野君はケータイを閉じて、すぐに壁に靠れて目を閉じた。
バスの確保ができなかったということを理由に、3年生は全員現地集合となってしまった。
お隣りの県へ行くというのに現地集合だなんて非常識だと少しだけ不満があったものの、他クラスの生徒と一緒に現地へ行けるというのは少しだけ嬉しかった。
学校付近の珈琲チェーン店でトールサイズの飲み物を人数分購入してきた梶君が、駅のホームで1人1人に配る。
「それで、何で芳野がここにいるの」
ストローを指しながらうんざりしたような表情で梶君が言う。
ベンチに腰掛けて石田君と一緒にPSPで対戦していた芳野君が顔を上げて、誤魔化すような笑顔を浮かべた。
「2年はバスで行かなきゃいけないんじゃなかったっけ……」
「いや、俺年齢的には3年だし」
理由にならないような理由を述べて、芳野君は滑り込んで来た電車に乗り込む。
「サツキと一緒じゃないの?」
石田君の言葉に芳野君が「大丈夫」と笑う。
「亜衣ちゃんが俺の代わりにバスに乗車してくれるって言ってたから」
「おいおまえ今すぐ学校戻れ」
梶君がパッと芳野君の肩を掴み、ホームへと下ろそうとすると、芳野君は笑顔のままそれを跳ねのけてサッサと空いている席に座った。
アラームの鳴ったケータイを広げ、彼は大袈裟な溜息を吐く。
「もうバレたのか。早いな亜衣ちゃん」
あっけらかんとそう言うと、芳野君はケータイを閉じて、すぐに壁に靠れて目を閉じた。