空き教室の机に城島君を座らせて、梶君は彼の踵が潰れた上履きを脱がせる。

軽く足首を掴まれただけで城島君は小さく喉を鳴らした。

「勉強し過ぎると足まで腱鞘炎になるのか。
初耳だよなぁ、風野」

急に同意を求められてしまい、私も咄嗟に頷いた。

「どんな姿勢で勉強したらこうなるの城島君」

赤く腫れあがってしまっている足首は、何の手当てもしていないらしく、何度も擦れたような痕が残っている。

梶君が少しずつ触る部分を上げていき、膝の部分を掴んだ時だった。

城島君が勢いよく足を振り上げた。

梶君は弾みで後ろへと尻餅をつき、城島君も机からずり落ちる。

一瞬何があったのか分からなかったらしい梶君は「え?」と呆けたように机から落ちた城島君を眺めていた。

「ごめん、そんなに嫌だった?」

梶君の恐る恐るの呼びかけに、城島君が慌てたように首を横へ振る。

「梶君、膝のすぐ下は膝蓋腱反射のあるところだよ……」

私が背後から言うと、梶君は思い出したのか「そっか」と手を叩いた。