「7時までってマジ?」

梶君に聞かれ、城島君は靴紐を結び直しながら「マジだよ」と笑う。

「バスケ部は1日3時間は必ず部活に参加しなきゃいけないの。
俺は今日4時から館内に入ったから、4+3で7時までは絶対」

――そんなにきっちりと時間管理がされているんだ。

3年生が疲れたという理由で自由解散をした本日の野球部を思い出して私は少しだけ眩暈を覚えた。

バスケ部が厳しすぎるのか野球部がフリーダムすぎるのか少しだけ判断に迷う。

「でも、城島はもう疲れてるじゃん」

城島君はシューズの爪先を何度か床に叩きつけながらヘラッと笑う。

「俺、疲れてるように見える?」

「見えるから言ったんだよ。
なぁ風野」

急に話を振られてしまい、私は肩を跳ね上がらせる。

パッと城島君と目を合わせてみたけれど、外が暗くなりかけているせいかあまりよく分からない。

「前にも言ったけどさ、時間外まで残っていて万一のことがあったらどうするんだよ。
怪我しても救急車が呼べなかったり1人で倒れて発見が遅れたりとかそういうこともあるんだぞ」

そう言う梶君を完全に無視して城島君はボールを片手で投げる。

綺麗に弧を描いたボールはサクッと音を立ててシュートされ、床を何度か弾んだ。

「梶先輩、いくらなんでも考えすぎだよ」

城島君が笑うと、梶君はムッとしたように顔を顰めた。