靴の底と床が擦れる音。
ボールが規則正しく弾む音。
そして、体育館から次々と出てくる2年生と思われる生徒たち。
金曜日の放課後、6時を過ぎてからも体育館の中には人が残っていた。
野球部にまた転部希望があったようで、梶君と私は夕方遅くに体育館へと出向くことになってしまった。
帰ろうとする2年生を片っ端から捕まえて退部許可をお願いし、先日のように名簿へとチェックを付けていく。
「まだ残ってる子っている?」
梶君の言葉に部員が「城島」と言った。
「それ以外はもう帰り支度はじめてるから、すぐ出て来ると思います」
彼らはそう言って校門を抜けて行った。
そっとスライド式の扉を開けると、すぐに城島君の姿が目に入って来た。
体育館の壁に靠れたままボールを床に弾ませる彼は、更衣室を眺めながらボーッとしていた。
「城島君」
私が声をかけると、彼の手からはボールが離れて床を転がっていった。
「転部希望者がまた来たから今日中にみんなの許可もらいたいと思って……」
梶君が言うと、城島君は転がるボールを拾って私たちの方へと駆け寄って来る。
「うん、別にいいと思うよ」
タメ口にはもうツッコむつもりがないのか、梶君は「そうか」と受け流しながら名簿にまた丸を付ける。
ボールが規則正しく弾む音。
そして、体育館から次々と出てくる2年生と思われる生徒たち。
金曜日の放課後、6時を過ぎてからも体育館の中には人が残っていた。
野球部にまた転部希望があったようで、梶君と私は夕方遅くに体育館へと出向くことになってしまった。
帰ろうとする2年生を片っ端から捕まえて退部許可をお願いし、先日のように名簿へとチェックを付けていく。
「まだ残ってる子っている?」
梶君の言葉に部員が「城島」と言った。
「それ以外はもう帰り支度はじめてるから、すぐ出て来ると思います」
彼らはそう言って校門を抜けて行った。
そっとスライド式の扉を開けると、すぐに城島君の姿が目に入って来た。
体育館の壁に靠れたままボールを床に弾ませる彼は、更衣室を眺めながらボーッとしていた。
「城島君」
私が声をかけると、彼の手からはボールが離れて床を転がっていった。
「転部希望者がまた来たから今日中にみんなの許可もらいたいと思って……」
梶君が言うと、城島君は転がるボールを拾って私たちの方へと駆け寄って来る。
「うん、別にいいと思うよ」
タメ口にはもうツッコむつもりがないのか、梶君は「そうか」と受け流しながら名簿にまた丸を付ける。