ボーリング場に戻ると、野球部のメンバーから「遅すぎる」とブーイングを受けた。

冗談半分に笑いながらジュースを回していき、私と石田君もソファの隅に腰を下ろす。

「風野の分、俺が投げちゃったけどよかった?」

梶君に遠くから聞かれ、私は深く頷く。

初めての私より慣れている男子たちの方が上手なのだろうと思いつつ何気なくボードを確認して、私はギョッとする。

風野綾瀬と梶晴矢の欄だけガーダーが続いていた。

「梶、下手すぎだろ」

白けたように石田君が野次を飛ばすと、梶君が顔を赤くした。

「今日は右手が筋肉痛なだけだ」

ムキになって答える彼に「フーン」と薄い相槌を打ち、石田君はソファに靠れかかる。

「薫の分、俺が投げたんだけど良かった?」

淳君が思い出したように言うと、石田君はギョッとしたようにボードを見る。

見事なガーダー続きの自分の欄を見て、素っ頓狂な声を上げる彼に、めぐちゃんが冷たい視線を注いだ。

「薫が淳に嘘ばかり吹き込むからいけないんだよ」

「自業自得だな」

「ちゃんと教えてやればよかったのに」

部員たちからの冷やかしに、石田君はオーバーに肩を落とした。