「あのさ、梶君と話したこともない段階で私を邪推するのってお門違いだと思うんだよね……。
とりあえず知り合う段階踏んだ方がいいんじゃないの……」

そうアドバイスをしようとした時だった。

「何やってんの、風野」

肩に手を叩かれた。

フッと見上げると、首にタオルを巻いたユニフォーム姿の梶君が私を見下ろしていた。

女子2人の表情がさぁっと青ざめる。

「何でもないよ」

私が言うと、梶君は「フーン」と呟いて下級生たちに目を向ける。

「でも、さっきの会話聞こえたよ、俺」

彼が笑顔でそう言うと、2人は更に表情を崩して、やがて訳の分からない奇声を上げて走り去って行った。