悪い予感が胸をよぎる。


樹先輩、喧嘩したりしないよね?


そう思って先輩に視線を移すと――その瞳は完全にヤンキースイッチが入っており、

手に持っていたビーチボールを私に投げてよこすと無言のまま浜辺へとあがっていく。


「ちょっと、先輩!」


止めようとする私の横を、優輝さんがすり抜けていった。


「止めても無駄だよ。あいつら樹がこのビーチに戻ってくるたびにああやって邪魔しに来るんだ」