ノスタルジア







ガチャ……と静かな音をたてて、明かりのない廊下へと出た。




寝室の斜め前にあるトイレの小窓に、光はない。




脱衣所も、お風呂場も。






恐る恐る入ったリビング、キッチン、ベランダ。






探せど探せど、彼の姿はなくて。






「……澪……み、お」






か細い声で彼の名を呼ぼうとも、返事が返ってくるわけもない。





────トン……トン……




自分の小さな足音だけが、この静かな家の中で響いていた。