「でもね、マグロはすごく美味しかった」 「でしょうね。俺の今晩の晩酌のメインだったのに」 「ごちそうさまでした」 「次からは見つからないところに隠しておかないと」 「えっ」 焦る私に、ニヤリと妖艶に微笑む彼。 「手癖の悪いドロボウ猫を飼ってるからね」 「……私か」 澪と過ごすこの家は。 ぽかぽかな陽気に包まれた、春の匂いがする。