か細い声でそう言った私を、彼は腕を引っ張って起こす。 ポンと自分の胸に私を抱き寄せて、そのまま背中に腕を回した。 あぁ、これが安心というものなんだ。 澪の腕の中でそう思って、ゆっくりとまぶたを落とした。 消えゆく意識のなか。 「……俺だってどうしたらいいか分からないんだ、 アヤノ」 彼が呟いたのは、私の知らないあの名前だった。