ノスタルジア







「言っとくけど、俺のキスは優しくないよ」




「……っ」






そう言った澪の右手の親指が、ツーっと私の唇をなぞる。




そのまま腕ごと身体を引っ張られて、いつのまにか覆い被さる澪の下へと誘導される。






ぐっと近くなる距離に、胸の鼓動が早く、早くと動き出す。





さらりと触れた澪の赤毛から、ミントのような爽やかな香りがして。





覗きこまれた瞳の奥に、彼は何を見ているのだろうか。