「大丈夫だよ、隣に俺がいるでしょ」 「…………」 「キキ、こっち向いて」 そう言って、そっと前髪をかき分ける。 なんだか眠たそうな澪の瞳と、目が合った。 ずっと隣に澪はいるのに。 こうやって、彼は私を精一杯甘やかすのに。 胸のどこかにある黒いカタマリはどこへもいなくならない。