「キキ、ちょっと来い」



「……(あ、怒ってる)」






リビングで、今流行っているというアルパカ特集の番組を見ていると、一段と不機嫌そうな澪がキッチンから出てきた。




大人のくせに、少し子供っぽい可愛いげのある澪の顔が。




今は寝起き+不機嫌でまるでヤンキーみたいだ。






きっとあのことだろう……と、心当たりを探りつつ、ソファーから腰を上げて少し大きい澪のスウェットを引きずったまま彼の元へ近寄った。




自分はよくオシャレなワイシャツやカットソー(おもに白)を着ているくせに、私に貸してくれる服はスウェットとかパーカーとか、こんなんばかりだ。






「どうしたの、澪」




「とぼけるな確信犯め。生憎寝起きの俺は虫の居所が悪いぞ」




「いっ、いはい……(い、痛い)」





ムッと唇を尖らせた澪が、わたしの右ほっぺをつねる。





地味に痛い……。