"私は来世を望みません"
確かに猫はそう言ったのだ。
"自分が何を言ってるのか、分かっているのか?"
"生まれ変わりが要らないということは、主がお前のその魂を喰らうということだ"
"もう一生お前は世界で生きることができずに"
"お前の魂そのものが消えてしまうということになる"
"来世で望みたいことが有るんじゃないのか? 結ばれたい奴がいるんじゃないのか?"
"必ずしも来世で逢えるというわけではないが、そのチャンスさえ無くなるのだぞ"
"あの男は、お前との未来を望んでいたのに"
知らぬなどと抜かしたくせに、主はいてもたってもいられずに真実を口にしてしまった。
猫は一瞬、その黒い瞳孔を細めたが、主の嘘については何も言及しなかった。


