ノスタルジア





「なんとなく、知ってた。


殺そうとまで思ってたのは


さすがに分からなかったけど。




なんとなくお前がキキを憎んでいたのは


知ってた。




知ってて、止めようと思わなかった。




前にお前が熱を出して


勝手に家に入った俺にキレたのは


そこに居たのが俺じゃなかったらと思うと


恐かったから。




いつか自分の居場所がバレて


キキと離ればなれになってしまうのを


お前は知らないうちに恐れてたから。




キキを憎むくせに


キキを失うことを恐がるお前を


俺はずっと知っていて



見ていたよ」








そう言って、彼は怒ることも哀しむこともしなかった。