たどり着いた防波堤の一番隅で。 私たちは立ち止まる。 寒くないのに、震える。 ドクドクと、心臓の音が頭の中に鳴り響く。 「キキ……」 貴方は私の名前を呼んで、切なそうな声で話すの。 「……俺の作った物語を聞いてくれる?」 私は、何も言えなかった。