「……?」
ガチャガチャと、目の前の固く閉じられた門を揺さぶった。
しっかりと鍵がかけられていて、どうやら簡単には開けられそうにないようだ。
インターホンを押すも、返答はない。
原因不明の嫌な胸騒ぎが俺を襲う。
慌てて、外に出ていた隣の家のおばさんを訪ねた。
「あのっ……」
「あら! 澪ちゃん。そうそうアヤノちゃん、大丈夫なの……」
「ここの家!」
「……え?」
「アヤノの……母親は?」
押し気味の俺に圧倒されつつ、おばさんは戸惑いながら口を開いた。
「この前、引っ越し業者のトラックが来て出ていったみたいだけど……。そこの家、売りに出されるらしいわねぇ」